エレキットの真空管アンプ TU-8233に思うこと
以前御紹介したTU-8233は2A3/300Bの自動判別機能付きのキットですが、発売されてWebでは少数ですが組み立て製作、そして試聴の記事も出ています。
自分はこの11.12月は時間も少ないこともありますが、内容を見て今その時期とはは思っていませんでした。キットの内容や方法・オプションにもよりますが6~11万円あれば立派なアンプを自作することができます。掲載記事によればエレキットの従来キット継承で製作も難しいものでもないようです。Webではストレートで組み立てた試聴感がではじめています。はたして自分の知る2A3の素晴らしい音と伝説的な高名に相当するものであるかどうか。キットとはいいながら定価で8万円するものですから、2A3という背景や経験のない方にも期待感はとても大きいのではないでしょうか。
もともと2A3という真空管は銘柄(実際は構造など)にもよりますがけっして派手な音のする真空管ではなく、今となって様々な選択のできる出力管の中ということもありますし、理想特性を追求したオーディオまたデジタル時代を体感した方々に向くかという点ではいかがなものでしょうか。もちろん優秀なトランスを組み合わせ、銘柄を選び、オーディオの経験見識のある人にとっては確立された音の中で代表する良い音のする真空管です。
<各種2A3、左上がオリジナル60年代のもの、他は後世のもの>
コンデンサーがオプションで変更できるとあるようですが、真空管アンプでは出力段の形式がシングルかPPかまず方向性が別れますが、キットで多いシングルアンプの場合は多大ばNFをかけることもないので、電気設計が正しければ出力トランスと出力管が音質貢献度が多大で、それらが色付ける部分があまりに多いので、電気特性が変わらない範囲で、オーディオ用で使える部品であれば、音質影響の大きい部分のコンデンサーであっても交換によって変わる部分はほんの味付けにすぎません。
300Bにしても簡単に音を論議することは早計で、それに見合う出力トランスを前提に出力管もオリジナルを基準にして、各銘柄を好みで選ぶというのであれば、良い選択ができると思います。
<300B各種、左上がウェスタンオリジナル:90年代 >
キットは容易にあるレベルの音を入手できますが、自分の場合はそれはキットメーカーとしての完成段階と考え、オーディオ製品視点ではキットをベースに改造というより材料としてオリジナルアンプを作ることは、加工や部品入手の手間を簡略できるメリットと考えます。ですからキット活用がしにくい回路や材料としての価格は大切な要因で、特に出力トランス換装だけ3万円かかることを考えると5万円を超えるキットには解像度利用度が厳しい条件になります。
もちろん本来のこのキットをそのまま完成して製品としてそのまま使う方の視点は全く異なると思います。NFなどもかかった回路であるはずですので、そのままの改造や部品交換はキットメーカーでの動作や音質調整からは向かない結果になることもあることは配慮すべきと思います。
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以前にも書き込みをした者です。
私はこのアンプが初めてだったので、他のアンプと比較してどうのこうのといえる立場にはありません。
そのため、購入後も他の方のご意見を伺うべくネットを検索しているのですが、まともに評価を書きこんでいる方は1人か2人くらいじゃないかと思います。
ですから「視聴結果ははかばかしいものではないようにみえる」という評価自体、まだ早いように思います。
そもそも自作される方にとっては、そちらの方が手っ取り早いでしょうから、敢えてキットと比較する必要性さえそもそもないように思います。
改造の自由度が低いのではないかとの点は、確かにそういう側面はあろうかと思いますが、反面、今回は匡体が大きくなり、スペースに余裕が出来たことは、改造にはプラスだとメーカーは主張しています。
某掲示板に実は私も書き込んだのですが、その後も音は変化しつつあるように思います。
働いていると、朝晩聴いてもせいぜい1日2時間でしょうから、まだ音は変わり得ると感じています。
投稿: ノット | 2012年12月20日 (木) 12時54分
貴重なご意見ありがとうございます。嬉しく思います。御指摘のとおりと思います。
音についてはそれぞれの考え方もありますので私の書きようでご機嫌を悪くされたかもしれません。2A3は歴史的な名管でもあることは
エレキットが書くまでのなく御承知のところと思います。私も以前書きましたようにこの球には40年以上あこがれて、20年近くこの出力管の音を聴いるというところがあります。自分場合は長い憧れであったためか最初の音から圧巻でした。
ですからTU-8233で2A3の真価が発揮されることを大きく期待致します。音を聞かれた方々から良い結果がご報告されるとを楽しみしております。
回路や部品など条件はありますが
音が本来の2A3の良い音にちかづいているのであれば、それは大変良いことだと思いますし、またそうでなればいけないと思います。
ご報告を引き続きよろしくお願い致します。
どんな2A3で音を聴かれているかでも、皆さんいろいろな結果も出てくる、それはこれからのことでしょうが、それが真空管アンプの面白みでもあります。是非機会があればオリジナルのRCA2A3もお聞きになるのも良いでしょうし、このアンプのもう1つの楽しみである300Bの音を聴いてみることもこのアンプの可能性と思います。ということで引き続きご報告よろしくお願い致します。エレキットのアンプ作りとしてはTU-8300で組み立てるだけでなく他社専門メーカーのトランスなど組み入れる積極的な楽しみを提供した点を評価しております。自作派だけでなく楽しみが広がればと思っておりますことはお許しください。私個人は自作派ですのでご指摘のように自作をすればよいのです。アクセスする方々にはそうでなくとも音づくりに参加したいという方もおられ、その視点で書かせて頂いております。
投稿: 初恋天使 | 2012年12月20日 (木) 20時45分
私は真空管に限らず半導体のAMPも含めて、かれこれ30年以上AMPと音質についてカット&トライを繰り返してきたエンジニアです。参考までに私の意見を書かせて下さい。単純に真空管だけを取っ替えて音質が変わるのは事実ですが、例えば2A3の音とか300Bの音などと真空管固有の音質が存在するように多く騒がれていますが、周辺の回路および使用部品も含めての追い込み(サウンド・チュ-ニング)を技術的に施していくに従って、固有の音質などそんなに大きく存在はしないのでは・・というのが最近の私の持論です。夢がないとお叱りを受けるかもしれませんが、大きな音質差が発生するのであればそれは技術的な詰めが甘いと判断致します。真空管AMPの場合は出力トランス、回路構成、音楽信号の通過する部品、配線の仕方などが特に大きく音質に影響して再生音質はコロコロ変化するのも事実ではないでしょうか?
投稿: 中井孝一 | 2013年3月12日 (火) 19時17分
訪問書き込みありがとうございます。
意外かもしれませんが私も中井様の意見に大賛成ですし、それを過去やってきました。
真のオーディオを追求するなら、キットの改造の類や素人的比較ではなく、
どこか1つに定点(たとえば出力管の1種)をつくり、その性能、条件を追求し最大条件を求め音を研ぎ澄ますべきだと思います。永年電子回路・音響から学び設計者としてメーカーを歩んできた自分はそれを体験、叩き込まれてきました。そうしたオーディオを個人メーカーでやってきた訳です。オーディオの誌の記事の多くもそうしたもので、最も正統な取り組みだと思います。
個人的な話で恐縮ですが、そうやって自分の思うところを正統な方法で1種だけでなく多種多様の定点を求め追い込むには、おそらく自分の人生は今の何百倍あっても足りないという事実もあります。御指摘の部分は限られた時間と資金でいろいろな可能性に挑戦して楽しみたいという真のオーディオから言えば愚かな楽しみ遊びと思って頂いて良いと思います。
しかし、誤解しないでいただきたいのは、一方で50年かけ正統な方法で求めたメインシステムも持っていての遊びということです。オーディオには個々や場合それぞれの楽しみや考え方があって良いというのがオーディオだけでなく、原点であるサウンドエンジニアや楽器のエンジニアを体験した自分の内なるオーディオの楽しみ方です。自分の考え方は自分なりのものであってそれぞれ、それで良いと思っています。
投稿: 初恋天使 | 2013年3月13日 (水) 04時07分
一連の最近の記事に掲載させて頂きましたましたが、自分は古典管にその個性音を失うほどの物理特性や音の追求をしようとは思わない・・ということを御理解いただければ幸いです。そして古典管の個性を聴こうとすることが正統というのでもなく自分のオーディオのすべてでもない、いろいろ楽しんでいるということを御理解頂ければ幸いです。もちろん真空管を最新の回路技術を駆使して当時の音とは全く違う、最新の機器も驚くような性能・音質に追い込むことがどうのという気持ちもありません。それもまた今だからできる挑戦であり素晴らしい楽しみだと思います。自分自身20年以上にわたり電子回路や製作の記事を執筆してきたこともあるのでしょうが、自分はいろいろやってきて、いろいろ方とふれあい人には各自それぞれのオーディオがあるということ尊重したいという考え方です。
投稿: 初恋天使 | 2013年3月16日 (土) 06時36分
貴重なご意見を有り難うございました。私は大切な趣味の1つであったオ-デイオを仕事として選択した時から自分の好きな音質は犠牲となってしまい、ひたすら会社の為に<売れる音>だけを追求させられて来た様に思います。その結果が(信じられるのは物理特性と100人の試聴結果のみ)という寂しいエンジニアとなってしまった様です。長い間に一番大切な自分の感性というモノを忘れ去っていた様です。定年を迎えた今、時間に捕らわれずにもう一度原点に返って(私の音探し・・・)に出かけようと思います。どうか、今後もアッドバイスをよろしくお願い致します。
投稿: 中井 | 2013年3月16日 (土) 23時40分
中井様
こちらこそ、ご教授よろしくお願い致します。
おりにふれ、ご意見、ご報告頂ければと思います。
投稿: 初恋天使 | 2013年3月18日 (月) 07時18分