未試聴管の試聴
出力管の中にはラジオ用、テレビ用に作られたものもあります。アンプや機器のローコスト化で言えばトランスを無くすというのはひところの手法です。電流をとるヒーター電源を100Vからとろうとするトランスレス球がありまして、これは当然通常とは変わった電圧(何本か合わせて100V、直列にするために電流を合わせる)になっています。そしてこのトランスレスではB電源も100Vを整流して得るために、低い電源電圧で高出力が得られるような設計になっていて、耐圧もそれにあわせ低くなっています。これまでのキット改造では無理であった部分です。今回は自作設計ですの対応して行けます。ユニバーサル化は先として、まず組んで試聴してみました。
30A5
TU-8100改造で予兆はあったのですがなかなかのものです。低音は圧巻です。キットの小型の出力トランスと違い、真空管アンプ自作全盛の1960年代に最高のシングル出力トランスであったラックスのSS5Bシリーズを今回は採用してます。NFをかけず、本来の部品の持つ個性尊重ですが快活な奔放な音がします。大変パワフル、ちょっとシンバルやスネアが粗い感じですがそれも好きになれば個性でしょう。30A5は中学生時代、自分の家にあったトランスレス5球スーパーのラジオの出力管がそうだった、懐かしいですが、音の印象は全く違います。
30P-M23
こちらはピアノ音はしっとりしっかりして良いバランス。低音も適度にしっかりしています。
50C5
確かOTLなどにも使われる球で耐圧は135Vと低く、スクリーングリッドの耐圧は117Vしかありません。今回は電源トランスに絶縁トランスを使ったので約10V単位でタップが出てます。一次側の巻き線もタップがりますので最も低い電圧になるようしました。
電源電圧こそ低いですが、電流はかなり流れます。ピアノ音は乾いた感じもしますがしっかりしていてスネアもおとなしく、雰囲気のある音。シンバルにはスリリングで、リムショットの胴の鳴りなどはしっかりしてます。低音も引き締まっていて、なかなか通好みかもしれません。
50EH5
こちらはラジオ球だったと思いますが、電源電圧、耐圧も低いです。特性ではこれまでの球とは違うようですがカソード抵抗は他と同じにしてます。負荷インピーダンスは少し高いのでしょう。ピアノはキャンキャンと派手な音がします。全体にこぶりながらしっかりした乾いた音がします。懐かしい音かもしれません。
さてこのアンプの全般ですがまだユニバーサル化前の火入れでしたので、5極管UL接続としました。前段はこれまでのキット改造出力管差し替えで好感が持てたSRPPです。出力トランスの1次インピーダンスは2.5KΩ。
やはり3極管接続の音も聞いてみたいですし、多極管接続ならスクリーングリッド用の電源を別に用意して電源電圧をもう少し上げてみたい感じもします。ヒーター電圧30V系の2種の球はスクリーングリッドのMAXがプレート電圧と同じでしたので、電源電圧を130V以上までに上げてみましたが透明感も上がりエネルギッシュになりました。
このアンプではヒーター電源をメインのトランスからとらない(というか絶縁トランスなのでヒーター巻き線がない)ので自由になりところがあります。50Vの球は2本直列に接続、30V系は150mAのトランス球ですので抵抗を直列接続して調整しています。採用した絶縁トランスはノグチの50VAタイプですがしっかりしていて安価(と言っても3000円代)、スペースの関係からチョークトランスは使わず、MOSFETのリップルフィルターです。
キットをベースにユニバーサルアンプを作ることは外観やコスト、工作の省略では有利なのですが、昨今のようにマイコンを用いた電圧・電流の監視や独自設計がされますと活用性に制限が在り、ハードなら回路から設計を読むことは容易ですがソフトとなると手探りというところがあります、回路の増設まで考えるなら、コスト・体裁・工作工数ではかかりますが実験のしやすいアンプを作ってしまうことが良い結果になります。ということでこれまで制限から試聴できなかった球を聴くことができました。しかしまだままだ始まったばかりです。
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