エレキット ヘッドホンアンプ TU-HP02 レビュー10
このあたりで簡単にこれまでの試聴をまとめてみましょう。
各種ジャンルの曲を聴いてみると、これまで一般に「真空管サウンド」と言われることが多いけれど、実際はもっと分解能や楽器の分離定位が良い。一方で刺激的な音が少なくピアノやギター音に艶が感じられる。ふっくらした中低域にさわやかな高域というところでしょうか。
実際の真空管の場合、出力管が持つ個性や多く用いられる出力トランスによるドライブ独特の音がありますが、原理からそうした傾向のものでもありませんし、3極管アンプのもつソフトディストーション(クリップしても耳触りでなく出力がさらにのびる)とはまた違うように思います。
ただパワーを上げていっても、つまる感じがなく音ののびが良く、ウォークマンではレベルはHiが使いやすく音質も良い感じがします。
ここでは具体的製品とのAB比較はなどしていませんが、以上が音質の傾向と思います。
音楽ジャンルとしては、限定されるものではないようです。「真空管サウンド」ということで着色傾向があるわけではなく、2タイプのヘッドホンで試聴しましたがそれぞれの音がしていました。今回は中高域にも差が出て、ヘッドホンを選定組み合わせる楽しみは大きいとおもいます。
たとえば今回の試聴ではヘッドホンがSONYのCD900との組み合わせで
「You Look Good To Me」
「The Girl From Ipanema」 Oscar Peterson Trio
などを聴くと、偶然なのでしょうが、TU-8200の6L6GCの3結モードで聴い印象が似ている感じがしました。(低音の感じは違いますが)
自分が体験感じているところの「真空管アンプ」の音そのものではありませんが、ふっくらな中低域、艶のある中高域をそう言ったのかもしれません。
こちらが内部です。普通は電池交換時もおおわれていて中は見えません。
中はしっかりしたものですしエレキットのTUシリーズです。モノづくり心をくすぐられる・・・ということでは隠していてはもったいない、透明カバーで中の見えるサービスがあっても良いのかもしれません。
面実装でなかなかのボリュームです。高音質の電解コンデンサが印象的な内部ですが、通過信号のカップリングでなく電源まわりに使われているようです。内部にはIC(OPアンプでしょう)もありますが、これは信号系ではなく電源やバイアス回路用のようです。たしかにカップリングコンデンサの排除には正負電源となりますし、乾電池4本ですので電源回路も工夫が必要です。
入力にFETを用いて、2次高調波の多い3極管特性をシミュレートしているようです。これは真空管アンプが出力に真空管や出力トランスを使っているところとは異なる違うところもあると思います。OPアンプにもFET入力はあるのですが、分解能の高さはディスクリートアンプによるところか、負帰還前の帯域が広い設計ができる良さなのかもしれません。
真空管を実際に使用したTU-HP01に比べると発熱やショック音がないところも扱い易いところだと思います。
3極管的な音質傾向は、5極管やビーム管に比べると確かにある感じがします。
これまでのTUシリーズでは工作や挿し替え音質の違いを楽しむ部分はありませんが、完成品としての使いこなす楽しみ、例えばヘッドホンの組み合わせなどがあると思います。
またここをスタートに、本格的に真空管アンプに興味を持つ方も出てくるとしたら、TUシリーズとしての意味も十分あるのでしょう。
ということで、これまで約10回ほどのレビューをまとめました。過去記事を読む方はオーディオのカテゴリーリンクからが便利かと思います。ここからはこれまでのレビューを踏まえいくつかの実験をして行きたいと思います。(続く)
真空管アンプ、真空管サウンドに興味のある方はこちらもご覧ください。
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