エレキット ヘッドホンアンプ TU-HP02 真空管サウンド検証編
昨日は長いコメントとなってしまいましたが、これまでの比較試聴でいろいろなことが解りました。そこで検証をしてみようと言うことになってやってみました。また長くなるので結論から言いますと検証結果はこれまでの試聴を裏付けるもので、疑問や推定部分も確なものになって、
TU-HP02とその前モデルのTU-HP01はそれぞれ工夫されたモデルそのそれの設計上の特色と魅力をもち、それぞれの特色を生かし上手に使いこなすべきというところです。
左:TU-HP02(ディスクリート構成) 右:TU-HP01(ハイブリッド構成)
*歪率を測ってみました(16Ωの抵抗負荷、新品のアルカリ乾電池にて)
出力は数値としては発表されているのですが、TU-HP01とTU-HP02では最大出力が大きく違います。(メーカー発表値 TU-HP01:18mW TUーHP02:170mW)
TU-HP02の最大出力が大きいのはおそらくDC-DCコンバータ回路で電源電圧を上げているのでしょう。、歪もなだらかに上がって行き余裕があります。一方はTU-HP01は最大出力が小さくもっと出力の小さいところからTU-HP02の歪増加カーブより急に立ち上がり、歪が加わって艶のある音になりますが、それは入力レベル次第で、その大きさは大きく変わるということになります。これがTU-HP01の魅力的な真空管サウンドになる秘密のようです。
TU-HP02では無帰還の真空管アンプのようになだらかに歪が増えるというところが魅力的な3極管的サウンドになるしくみのようです。これはさすがにTUシリーズで培った真空管サウンドの魅力を心得た設計、ここが真空管を使わずにTUシリーズを名乗るところなのでしょう。両者は構成も違いますが、違った真空管サウンドを狙っているということです。ですから単純にTU-HP01の出力が小さい・・・それを改良したのがTU-HP02というのは少し早計すぎると思います。
自分の専門分野の電子楽器で言えば、歪系のエフェクタの中にあるディストーションとオーバードライブの対比に似ているように思います。どちらが上ということではなくそれぞれ期待するところがある訳です。
あらためてTU-HP01の魅力と使い勝手、それとはまた別のTU-HP02の魅力というものがあって、両方持たれる方では使い分け方、どちらを選ぶ方の着眼点、そして試聴結果を裏付けるものとなりました。TU-HP01ではサウンドレベルで音が変わる点を早く持って来ることで多彩な音変化を得ており、、TU-HP02ではDレンジを広くとって豊かで安定したサウンドを得ているようです。これが両者をどんな音量で聴き比べるかで違った感じがした原因でもあるように思います。良質の歪が得られるところは取扱説明書にあるところです。このように出力レベルが歪率の変化になるので、ヘッドホン感度やインピーダンスの違いのために生ずる歪変化と、本来持つキャラクタとの相乗作用で印象の違いが大きく出るものもある・・インピーダンスや能率でどのあたりの動作で使われるかで音色も変わってくる・・・ということでしょう。またGainスイッチもHigh側の方が音やせしないのも今回のデータから納得しました。プレーヤ側で出力レベル調整設定して、ヘッドホンアンプ側ではHighで使うのが良いでしょう。
広いインピーダンス範囲が発表されながら、16~32Ωを推奨していることで気になるのがヘッドホンのインピーダンスでしょう。
そこで今回使用したヘッドホン2機種のインピーダンス特性をとってみました。
(岩淵技研製インピーダンスアナライザIW7706で自動測定):
上でピークがある赤:SONY CD900(公称64Ω)
下の青:オンキョーIE-C300(公称32Ω)
TU-HP02は、音づくりに参加という点では、使うヘッドホンの選択組み合わせ、聴く音楽音量で楽しめることもエレキット製品としての楽しめる積極オーディオなのかと思います。
(続く)
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