エレキット TU-HP02 レビュー 製品概要
まずTUシリーズだということは先にして、エレキットという手作りのブランドが完成品のヘッドホンアンプを出すということでヘッドホンオーディオの広がりを感ずるところがあります。
エレキットのオーディオは良質の管球アンプキットを中心に長い歴史と実績があって、手作りオーディオ、オーディオ工作では1つの形を作ってきました。そのあたりのほんの一角は私のホームページからも感じていただけると思います。
最近の工作から
http://mtomisan.my.coocan.jp/page122.html
エレキットでは手づくりキットだけでなく完成品も出しており、TU-HP02の先代のTU-HP01も完成品でした。TU-HP01はハイブリッドということで一部真空管を使い、エレキットが近年押している真空管サウンドを前に打ち出したもので、これまであったTU-882のようなヘッドホンアンプとはちがいポータブルという、ヘッドホンオーディオの使い勝手を考慮した仕様にエレキットらしいOPアンプの挿し替えという魅力も加味した、エレキットお得意のアクティブなオーディオ指向の製品でした。
参考 TU-882
http://mtomisan.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/tu-882-5d8c.html
参考 TU-HP01
http://mtomisan.cocolog-nifty.com/blog/2014/01/tu-hp01-c6f2.html
今回のTU-HP02は真空管もOPアンプも使わず、トランジスタとFETで構成したヘッドホンアンプです。そして、完成品です。当然ですがOPアンプや真空管のようなデバイス挿し替えもありません。しかしながら真空管アンプシリーズの「TU」を冠しているということが、このアンプの大きな特色となっていると思います。
すでに発表などでもあるように、音質面での真空管アンプに肉薄すべく、真空管に近い特性・特色をもつFETを利用したことです。
しかし、まずこれまであったいじれる要素を排してもこの構成したという、製品としての使い勝手や音質をなにより重視した姿勢を感じます。
確かに最近はOPアンプ(古くはアナログ演算を目的開発されたデバイスで直流増幅もでき当初はオーディオ用途ではなかった。)の高性能化やオーディオ用として音質追及されたデバイスも続々登場していますが、アンプ設計としては完成したデバイスを外付け部品で設計するものと、ディスクリート構成で設計するアンプでは可能性ではまったく違う次元にあると言えます。これはアンプ設計を長らくやってきた方々でなくとも感じていただけるところだと思います。
ただ、実際はICが全く使用されていないということではなく電源やバイアスには使用されていることは説明書にも明記されていました。
ディスクリートアンプではOPアンプと違い、負帰還前の開ループ特性を自由に設計することができ、以後かける帰還量などを考慮した設計、多くは無帰還時でも帯域広く位相特性なども良い設計をすることもでき、動作面では過渡特性の良い、また音質としては自由で分解能の高い音質を期待できる・・というのが電気いじりをやってきた自分の感じているところです。実際にこれまでのTUシリーズの真空管アンプも無帰還か、帰還量の少ないアンプが多かったと思います。
FETを利用したことについては説明書にも解り易く解説され、ホームページや他サイトでも触れている思うのでここでは繰り返しません。このあたりは論より証拠、実際の試聴によるところでしょうが、エレキットがTUシリーズにこのヘッドホンアンプを入れているというところも真空管サウンドへのこだわりなのだと思います。このあたりはこのブログサイトでも専門であるので今後深く触れて行きましよう。
(続く)
« DV-7使いこなしの秘訣 | トップページ | DV-7活用DVD1月の新刊リリース »
「オーディオ」カテゴリの記事
- T&K SINGERS第53回定期公演(2025.04.26)
- 日本音響学会からお知らせが届く(2025.04.07)
- 吉祥寺パルコ オーディオ・ユニオン開店(2025.03.20)
- 不活用品の出品整備(2025.02.21)
- 雑誌と雑誌付録の処分(2025.01.21)
コメント